「飼育」って言うと、なんかこう、ペットとか、大事に育てるみたいなイメージやろ? けどな、あの大江健三郎先生にかかったら、全然ちゃう意味になんねんな。
ほんで舞台は、戦争が終わって間もない頃の、日本のどっかの田舎町や。戦争の傷跡がまだ生々しい静かな村に、なんと「黒人兵」が現れんねや。村人たちは、そりゃもうビビるわな。「うわ、なんやこいつ!」ってなるわけよ。けど、その一方で「見たことないヤツや!おもろそうやんけ!」みたいな、好奇心も湧いてくんねや。
で、結局「飼育」することになるんやけど、これがまたエライことになるんや…。閉鎖的な空間で、人間の欲望がむき出しになっていく様は、見とったらゾッとするで。ほんで、少年の純粋な目線を通して、大人たちの汚い部分も、ようけ見えてくるんや。
「飼育」ってタイトルから想像するもんと、全然ちゃう展開が待っとるから、覚悟して読んだほうがええで!
もくじ
戦後まもなくの郊外を舞台に、人間の根源的な欲望が剥き出しに
戦争が終わって、ほっと一息つきたいとこやけど、世の中はまだまだ落ち着かんかったんやろな。ほんで、舞台は日本のどっかの山奥の村や。人々は戦争の傷跡を引きずりながら、息苦しい毎日を送っとったわけよ。
そこに、なんや墜落した輸送機から逃げ出してきた「黒人兵」が現れんねやー。肌の色も言葉もちゃう、見たこともないヤツが、いきなり目の前に現れたら、そりゃビビるわな。
最初は警戒しとった村人も、だんだん「こいつを自分らの好きにしたらええんやないか?」って思い始めるんや。戦争で疲れ果てた心を慰めるかのように、黒人兵を自分らの都合のいいように「飼育」しようとするんやけど…これがまた、エライことになるんやわ。
支配する側、される側、好奇心、恐怖、それから妙な連帯感…。簡単にええとか悪いとか言えんような、人間の複雑な感情が渦巻く中で、どんどん話がややこしい方向へ進んでいくねんな〜。
逃げ場のない閉鎖空間、そこで育まれる歪んだ関係
ほんで、その村ってのが、山に囲まれた、まるで陸の孤島みたいなとこなんよ。外部との交流もほとんどない、閉鎖的な空間や。そこに迷い込んできた「黒人兵」は、村人たちにとっては未知の恐怖であると同時に、奇妙なもん見つけた! みたいな感覚やったんかもしれん。言葉も通じやんヤツを前に、村人たちは次第に奇妙な連帯感を抱き始めるんやけど…。
「黒人兵」を閉じ込めるために作られた小屋が、また象徴的なんやわ。最初は恐怖の対象でしかなかった「黒人兵」が、いつの間にか村の日常に溶け込んでいく。子供たちは物珍しそうに近づいていくし、大人たちは自分たちが支配者であることに優越感を感じ始めたりする。
でも、そんな歪んだ関係が、うまくいくわけないわな。閉鎖的な空間の中で、善意と悪意、好奇心と支配欲がごちゃ混ぜになって、最終的には取り返しのつかない悲劇に繋がっていくんや。人間の心の闇って、ほんま底なし沼やで…。
少年の視点が暴く、大人たちの欺瞞と狂気
この物語は、一人の少年の目を通して語られていくんやけど、これがまた切ないんやわ。純粋無垢な少年の視線は、周りの大人たちの言動をありのままに映し出す。黒人兵の出現に戸惑いながらも、次第に心を通わせていく子供たち。でも、大人たちはそんな子供たちをよそに、どんどんエスカレートしていくんや。
黒人兵を「飼育」することに熱中していく大人たちの姿は、少年の目には狂気としか映らん。表向きは優しく接してるように見せかけて、心の奥底では差別意識丸出しの大人たち…。戦争が人間をこんなにも歪めてしまうんかと思うと、胸が痛むわ。
少年の純粋な視線を通して、大人たちの偽善が暴かれていく様は、見てるこっちが辛くなる。人間の心の闇って、ほんま怖いもんやで…。
希望と思われた「飼育」がもたらす、予想だにしない結末
「黒人兵」が現れたことで、村には一時的な活気が生まれるんや。村人たちは、彼を「飼育」することによって、自分たちの生活がよくなるんじゃないかと期待する。戦争で傷ついた心を癒やす、希望の光に見えたんかもしれん。
でもな、その「飼育」が、どんどん歪んでいくんや。言葉の通じない相手への恐怖、自分たちとは違う存在への好奇心、そして支配したいという欲望…。純粋な気持ちから始まったはずの行為が、いつしかエゴにまみれて、取り返しのつかない悲劇を引き起こしてしまうんや。
希望が絶望に変わっていく様は、見ててほんま辛い。人間の心って、こんなにも脆くて、危ういもんなんやな…。
人間の弱さと恐ろしさ、それでも生きることの意味を問う傑作
『飼育』っていう作品は、ただの戦争文学やないんや。人間の根源的な問題を突きつけてくる、傑作なんや。閉鎖的な空間での出来事を通して、異質な存在への恐怖と好奇心、支配と被支配の関係、人間の欺瞞と狂気…人間のあらゆる闇を、容赦なく描き出しとる。
希望を込めて始めたはずの「飼育」が、なんで悲劇に変わってしまったんやろか? 予想もしなかった結末は、読者にいろいろと考えさせてくれる。人間の善悪とは? 他人とどう接すればええんやろか? そもそも、生きる意味って何なんやろか…?
発表当時、賛否両論を巻き起こした衝撃作
1958年に発表された時、『飼育』は、その衝撃的な内容から、文壇を巻き込む大騒動になったんや。人間の闇を容赦なく描き出したこの作品は、多くの読者に衝撃を与え、賛否両論が巻き起こったのも無理はないわな。けど、それだけ多くの人を惹きつける力を持った作品やったってことや。
今なお色褪せない、人間の深淵を覗き込むような読書体験を提供
時代が変わっても、『飼育』が持つテーマは色あせてへん。閉鎖的な社会、異文化との摩擦、人間のエゴ…現代社会にも通じる問題を提起しとる作品やからこそ、今読むからこそ、心に響くものがあるんちゃうかな。
人間の業を描き出す傑作を体感する
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